服づくりにおいてデザイン性の高さは、商品の価値を決定づける重要な要素です。

しかし、グッドデザインとは何かを導き出すのは容易ではありません。


服はオブジェではなく、着用しはじめて価値を持つものです。

服の外見の美しさだけを追求したものがグッドデザインとは思いません。

僕がサポート・サーフェスで追求しているのは、袖を通すことによってその品質の良さを感じる事が出来、
又、衣服を着た女性の表情や立ち居、振る舞いを、より美しく演出させる衣服をつくり出す事です。


肌に触れる製品のデザインは繊細なセンスと質感に溢れているべきです。

内からくるもの。つまり着る人が感じる体感度をデザインする事が本当の意味のグッドデザインに繋がる事と信じています。


サポート・サーフェスは、殆どのデザインを自身による立体裁断から行なっています。

つまり、ボディにまとわせた布に向き合い触れながら、デザインを考えていくのです。

前身頃、後ろ身頃、袖付けなど、服の基本概念を取り払い360°俯瞰した視点で、テーマを反芻しイメージを構築していき、
布を裁断し、ピンで止め、しつけ糸で仮縫いするという、手作業の中での「ハプニングとの出会い」、
そして、「ひらめきと決断」によって、朧げなイメージを徐々に明確なデザインに構築していくのです。

こういった立体からの着想により、人体にとって自然で無理のない有機的なデザインを導びいていきます。


流行や哲学的なメッセージ、高度なテクニック、あるいは素材の良さなどをことさらに主張するのではなく、
機能性と着心地を求め、あくまで着る女性を主体に考え個性がより映えるように、あらゆる要素のバランスをとっていく。


そんなスマートな方法で独自の世界感を提案していくのが理想です。

そして常に新鮮で魅力的な商品を生み出していきたいと思っています。



2007年

研壁 宣男

Designer Profile

研壁 宣男

1988
桑沢デザイン研究所卒業
1989
渡伊
1990〜92
"ROMEO GIGLI"アシスタントデザイナー
1992〜96
"10 CORSO COMO" "NN STUDIO"のデザイナー
1994年より"NN STUDIO"のチーフデザイナー
1996〜97
フリーとして日本国内でのデザイン活動
1997
再渡伊 "ALBERTO BIANI社"とデザインコンサルティング契約を締結
1998〜2003
"ALBERTO BIANI"をメインに、"TRUSSARDI COLLECTION" "INCOTEX" 等のデザインを担当
1999〜
"SUPPORT SURFACE"プロジェクトを始める(以後年2回の展示会を行う)
2003
帰国
2006〜
東京コレクション参加
2007
株式会社サポートサーフェス設立
研壁 宣男

美しいものには無駄がない
無駄がないものが美しいとは限らない